エルメス ボリードの革修理(色補修)
【東京都 K様】
エルメス
ボリードの革修理
【東京都 K様】
ボリードの革修理
【東京都 K様】




- 作業金額44,000円(税込)
- 作業期間1ヶ月
- 修理部位表面全体
ご依頼の背景とお品物について
今回ご依頼いただいたのは、エルメスの代表的なハンドバッグ「ボリード」。中でもトリヨンクレマンス素材を使用した赤色のモデルです。トリヨンクレマンスは、柔らかくしなやかな質感とマットな風合いが魅力のレザーで、耐久性もあり普段使いに適した人気素材です。
しかしながら、赤のトリヨンクレマンスは日常使用によってスレや黒ずみ、革表面の凹凸感の減少、色あせが目立ちやすい特徴があります。今回のお客様も「長年愛用してきたため全体的に色褪せが進み、艶感が失われてきた」とのことで、鮮やかな赤色を取り戻し、再び気持ちよく使えるようにしたいと修理のご相談をいただきました。
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修理前の状態
- エルメスを代表するアイコニックなモデル「ボリード」。トリヨンクレマンス素材ならではの柔らかさと上品な発色は魅力的ですが、長年の使用により以下のような経年劣化が見受けられました。
『バッグ全体に広がる色あせとくすみ』
『角(コーナー)部分の擦れや色落ち』
『全体的にに目立つ黒ずみ・使用痕』
『鮮やかだった赤色が全体的にトーンダウンし、印象が薄れてしまっている状態』
ボリードはシンプルながらも洗練されたデザインであるため、革の発色や艶の有無が全体の印象に直結します。今回も「鮮やかな赤を取り戻して、再び長く使いたい」というお客様のご希望に応えるべく、トリヨンクレマンスの特性を活かした丁寧なレザーメンテナンスを行うこととなりました。
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修理内容
- 今回のエルメス ボリードは、トリヨンクレマンスの柔らかい質感と鮮やかな赤色を取り戻すため、以下の工程で丁寧に修復を行いました。
① クリーニング|表面の汚れ・黒ずみの除去
革に優しい専用クリーナーを用いて、全体の黒ずみ・皮脂汚れを丁寧に除去。特にハンドルや開口部など手に触れる部分を重点的にクリーニングし、補色の下地を整えました。
② 調色(赤色の再現)|自然な発色を目指した色づくり
赤色のトリヨンクレマンスは発色の再現が難しいため、退色具合を考慮しながら複数の顔料を調合。明るすぎず暗すぎない、自然な赤色になるまで微調整を繰り返しました。
③ 下処理・アンカーコート|塗料の密着性を高める
表面を均一に整えたうえでアンカーコートを塗布。補色の発色を安定させ、仕上がりの耐久性を確保しました。
④ 下塗り|色ムラの補正
調合した赤色を薄く数回に分けて吹き付け、退色部と周囲をなじませました。これにより、境界が自然に溶け込み、全体に均一なベースカラーが整いました。
⑤ 本塗り|鮮やかな赤の再生
全体に本塗装を施し、エルメスらしい上品な艶と鮮やかさを再現。光の当たり方によって自然な表情が出るように仕上げています。
⑥ トップコート|艶と保護の最終仕上げ
最後にトップコートを施すことで、摩耗や色落ちを防止。トリヨンクレマンスの柔らかい質感を守りつつ、長期間美しい赤を保てるようにしました。
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職人のコメント
- トリヨンクレマンスは柔らかくしなやかな風合いが魅力ですが、その分スレや色褪せが出やすい素材でもあります。特に鮮やかな赤色は、退色や黒ずみが目立ちやすく、自然な色合いを再現するには高度な調色技術が必要です。
今回のボリードでは、お客様の思い入れを大切にしながら「エルメスらしい艶感と赤の深み」を意識して補色を行いました。革の柔らかさを損なわず、色味と質感を均一に整えることで、上品で長くご愛用いただける仕上がりを実現できたと思います。
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