エルメスエヴリンの革修理（キャンバスクリーニング＋色補修）
【愛知県　M様】

エルメス
エブリンの革修理
【愛知県　M様】

2025/08/24

作業金額55,000円（税込）
作業期間1ヶ月
修理部位表面全体

ご依頼の背景とお品物について

今回ご依頼いただいたのは、エルメスの人気モデル「エヴリン」。その中でも、軽やかな雰囲気と実用性を兼ね備えた トワルアッシュ×レザー仕様（ナチュラルカラー） です。キャンバス素材のナチュラルトーンはカジュアルで上品な印象を持ち、レザーとのコントラストがエヴリンらしい魅力を引き立てます。特にTPMやPMサイズはデイリーユースに最適で、多くのファンに愛されているシリーズです。

しかし、トワルアッシュ素材は布地特有の汚れやすさがあり、皮脂や黒ずみが蓄積すると見た目の清潔感が損なわれがちです。また、併せて使用されているレザー部分（ストラップや縁、フラップなど）は、摩擦や紫外線の影響でスレや退色が目立ちやすく、全体的にくすんだ印象になってしまいます。

今回のお客様も、長年ご愛用されたことで「キャンバス地の黒ずみや黄ばみ」「レザー部分の色褪せや擦れ」が気になるようになり、当店に修理をご相談くださいました。
「全体をきれいにリフレッシュして、再び普段使いできる状態にしたい」というご希望のもと、キャンバスのクリーニングとレザーの色補修を組み合わせたメンテナンスを行うこととなりました。

参考動画

修理前の状態: エルメスの人気モデル「エヴリンTPM（トワルアッシュ×レザー／ナチュラル）」は、軽やかなキャンバス素材と上質なレザーのコンビネーションが魅力ですが、今回のお品物には以下のような経年劣化が見受けられました。

『キャンバス地全体の黒ずみ・黄ばみ』
ナチュラルカラー特有の汚れやすさから、全体的に黒ずみや黄ばみが広がっていました。

『ハンドル・縁周りのスレ』
レザー部分に摩耗が集中し、色褪せや擦れが顕著に。

『フラップやストラップ付近の色ムラ』
日常使用による摩擦と紫外線の影響で、部分的に退色や艶の不均一が見られました。

『全体のくすみ感』
キャンバスとレザー双方の劣化が相まって、清潔感が損なわれている状態でした。

修理内容: 今回のご依頼では、エルメスの人気モデル「エヴリンTPM（トワルアッシュ×レザー／ナチュラル）」に対して、キャンバスの清潔感とレザーの上品な色味を取り戻すため、以下の6工程でクリーニング・補色修復を行いました。

① クリーニング｜キャンバス生地の黒ずみ・汚れ除去

トワルアッシュ素材は汚れが繊維の奥に入り込みやすいため、専用洗浄液で丁寧に洗浄。特に底部やサイド、開口部の黒ずみや黄ばみを中心に処理し、ナチュラルな清潔感を回復させました。

② 色作り（調色）｜ブラウンレザーに合わせた自然な補色

摩耗や退色が目立つハンドルや縁周りのレザー部分を中心に、周囲となじむブラウンカラーを独自に調合。革本来の深みを活かしつつ、自然な発色に仕上げるため微調整を重ねました。

③ 下処理・アンカーコート｜補色定着と耐久性向上

補色を均一に浸透させるため、レザー表面をなめらかに整えた上でアンカーコートを塗布。これにより色の密着性が高まり、仕上がりの耐久性が大幅に向上します。

④ 下塗り｜色ムラ補正とトーン調整

調色したブラウンカラーを薄く何層にも分けて下塗り。補修箇所と周囲を丁寧になじませ、全体の色ムラや艶感を均一に整えました。

⑤ 本塗り｜革本来の質感を活かした補色

下塗りの上から本塗りを重ね、ブラウンレザーの上品な質感と発色を再現。細部まで丁寧に仕上げることで、補色感を感じさせない自然な外観へと整えました。

⑥ トップコート｜耐久性と上品な艶感の最終仕上げ

最後にトップコートを施し、摩耗や退色からレザーを保護。マットすぎず光りすぎない絶妙な艶感で、エヴリンTPMの持つナチュラルで洗練された印象を取り戻しました。

このように、キャンバスとレザーを組み合わせたエルメスエヴリンには、素材ごとに異なる専門的なアプローチが必要です。当店では一点ごとに最適な方法で修復を行い、大切なお品物を長く美しい状態でお使いいただけるようサポートしています。

職人のコメント: 「トワルアッシュのキャンバスは汚れが繊維の奥に入りやすく、通常のクリーニングでは落ちにくい素材です。また、レザー部分は摩耗や色褪せが目立ちやすいため、自然な補色が必要でした。今回は、キャンバスの清潔感を取り戻すと同時に、レザーの色補修を丁寧に行うことで、全体のバランスを損なわずに仕上げています。」

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