エルメス バーキン35の革修理(色補修)
【兵庫県 K様】
エルメス
バーキンの革修理
【兵庫県 K様】
バーキンの革修理
【兵庫県 K様】




- 作業金額44,000円(税込)
- 作業期間1ヶ月
- 修理部位表面全体
ご依頼の背景とお品物について
今回ご依頼いただいたのは、エルメスの代表的なハンドバッグ「バーキン35(スイフト/エトープ)」です。しなやかで滑らかな手触りが特徴のスイフトレザーは、美しい発色と柔らかさで多くのファンを魅了する一方、キズや黒ずみ・スレが目立ちやすいという繊細な一面もあります。エトープ(グレージュ系)の落ち着いたカラーはどんなコーディネートにも馴染みやすく、特に人気の高い色味ですが、淡色ならではの悩みとして、経年によるくすみや角のスレ、ハンドル周辺の手垢汚れなどが顕著になってきます。今回のお客様も、「お気に入りのバーキンだから、これからも長く大切に使っていきたい。黒ずみや色ムラを自然に整えて、品のある状態を取り戻したい」とのご希望から、当店へご相談くださいました。革の質感とエルメスらしい品格を損なうことなく、補色・クリーニング・黒ずみ除去などの修理を丁寧に実施させていただきました。
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修理前の状態
- お預かりしたエルメス・バーキン35(スイフトレザー/エトープ)は、柔らかく上品なツヤを持つスイフト素材が使用されており、高級感のある佇まいが魅力の逸品でした。しかし、長年のご使用により、以下のような経年劣化が見受けられました。
『四隅(コーナー)のスレ・色落ち』
バッグの角部分に目立つ摩耗があり、エトープ特有のやさしいグレージュカラーが削れて白っぽくなっていました。
『ハンドルまわりやフラップの黒ずみ』
手の触れる機会が多い部分には、皮脂や手垢による黒ずみが広がり、全体の清潔感や上質な印象を損ねていました。
『レザー表面の色ムラ・ツヤの消失』
スイフトレザーは滑らかで繊細なため、摩擦によって部分的にマットになっており、自然な光沢が失われていました。
『細かなキズ・擦れによる風合いの劣化』
全体にわたって小さなスレキズが広がっており、全体の印象にやや疲れを感じさせる状態でした。
このような症状は、スイフトのような滑らかな革や、エトープのような淡色系カラーに特有の変化であり、適切な補色修理とクリーニングによって美しさを取り戻すことが可能です。今回は、風合いと耐久性を損なわないよう、専門的なメンテナンスを施すこととなりました。
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修理内容
- 柔らかく上品な質感が魅力のスイフトレザーと、落ち着いたグレージュカラーが特徴のエトープに対し、以下の6工程で慎重に補修・補色作業を行いました。
① クリーニング|表面の黒ずみ・くすみ除去
専用のレザークリーナーを用いて、ハンドルやフラップ、四隅などに広がっていた黒ずみや手垢を丁寧に除去。スイフトの滑らかな質感を損なわないよう、革に負担をかけずに汚れを浮かせて拭き取ります。
② 調色|エトープに合わせた自然な色づくり
淡いグレージュ系の「エトープ」は、光の当たり方や経年変化によって微妙な色味の違いが生まれるため、実際の革の状態に合わせて補色塗料を調合。周囲とのなじみを意識し、補修跡が出ないよう緻密に色合わせを行いました。
③ 下処理・アンカーコート|塗料の密着強化
補色塗装の前に、革の表面を整えた上でアンカーコート(下地処理)を施工。これにより塗料の密着性が高まり、ムラのない均一な発色と耐久性が期待できます。
④ 下塗り|色ムラのなじませ・艶調整
調合したエトープカラーを、補修が必要な部分を中心に薄く数回重ねて塗布。周囲の色や艶感と自然に溶け込むように下地を整え、塗装の境界線が出ないよう丁寧にぼかします。
⑤ 本塗り|質感と色を再構築
下塗りの上から本塗りを施し、革の持つ自然なツヤとエトープの柔らかな色調を再現。特にスイフトレザーの「しっとり感」や「高級感」を損なわないよう、革の動きや質感に合わせて仕上げていきます。
⑥ トップコート仕上げ|耐久性と上品な艶を付加
最後にトップコートを施工。摩耗や色落ちを防止する保護層として機能し、バーキン特有の上品で控えめな光沢感を再現します。マットすぎず、光沢すぎない絶妙なツヤ加減に整えることで、自然な美しさと耐久性を両立させました。
このように、エルメス・バーキン35 スイフト エトープに対しては、革の風合いを最大限に活かしながら、補色・補修跡の違和感が出ないように細部まで配慮した修理を実施しました。
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職人のコメント
- エルメスの中でも特に気品と実用性を兼ね備えたモデル「バーキン35」。今回お預かりしたスイフトレザーのエトープは、非常に繊細な質感と発色が特徴である一方、わずかなスレや汚れも目立ちやすい素材です。
とくにエトープのような淡いグレージュカラーは、補色修理の際に少しの色ズレでも違和感が出てしまうため、調色には細心の注意を払いました。光の反射や経年変化も考慮し、塗布するたびに微調整を繰り返しながら仕上げています。
また、スイフト特有のなめらかさと上品なツヤ感を損なわないよう、トップコートの質感にもこだわり、自然な艶としっとり感を引き出すよう心がけました。
「お気に入りを永く、美しく使い続けたい」というお客様の想いに応えられるよう、細部まで丁寧に手をかけた補修となりました。バーキンの魅力が再び引き立つ仕上がりとなっていれば幸いです。
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お客様の声
- (30代・女性)長年愛用していたエルメス・バーキン35(スイフト/エトープ)が、見違えるほど綺麗になって戻ってきました。角のスレや黒ずみも補色で自然に仕上がっていて驚きです。高級バッグの補修は信頼できる専門店にお願いするのが一番ですね。丁寧な対応にも感謝しています。
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